寄り道
「約束は..」
むかし、「約束は破るためにあるんだ」と言っていた人がいた。
なんで、そんな話になったのか覚えていないが。家に来るヒヨドリ
にしても、会社に来る知り合いのカラスにしても彼らにリンゴなり
食べ残しを与える約束をした覚えはなく、彼らとてこちらに某かの
要求をしてきたわけでもない。そんな間柄で続けている約束みた
いなことをしている。ことカラスに関しては、毎日出るわけではな
いのに。それでも会社の事務所近くにいるんだ。めんこい(可愛
い)じゃないか。友達レベルの間柄かどうかは疑問だが、気楽な
付き合いだ。そのカラスと家に来るヒヨドリにしても違うのは、
どの場所で会っているかで異なる。これが大きい問題だ。
家に来るのは、トリだけではない。家内はその事を時たま忘れるの
で非常に困る。来てほしくないネズミが、玄関のドアーから堂々と
そこから入ってくるのだ想像すると身震いがする。ドアーの閉め忘
れで入って来たと今の所覚えは無いが、その話は別にしてろくな事
は無かった、猫が入って来て茶の間にフンをしていった事があった。
のんびり屋の家内は、あまり気にしてないが。私は言う、ネズミ達に
「お前達は、縁の下か又は、人様に隠れるか見つからないように、
そっと入るのが当たり前なんだぞ」と。なんぼ言ったところで無駄だ。
時々、私もそんな家内のとる行動がネズチュと同じ程度だと思って
しまう事がある。思うだけで家内に言えないが。言ったら大変だ、
すぐ何か言われそうだで、終わらない世界が待っている。
ヒヨドリと知り合いのカラスとの関係の約束ごとは、先程の条件で
成り立っているといえようか。家内には、通じない約束事だ。
その約束で太宰治の「走れメロス」を想い出した。暴君ディウスに
メロスが誤解されたというか処刑される羽目になって、3日延期願
いして妹の結婚式に行って帰ってくる。身代わりとして無二の親友
セリヌンティウスに頼み、メロスが往復路色々な出来事が有る中葛
藤し約束を果たす物語だ。もの凄い信頼関係だ、改めて読むと涙が
出てきちゃった。
この物語のような究極な約束事は別として、色々下らないことを
言って来た私でも、信頼に応えうる人間に精進しようかと思わされ
た。
春風するめ