寄り道
 
  「手間のかかるマメよ..」
 
  もう寒いから、外なんか出せやしないと思っていたのに囲いか
 ら出てしまった。マメ(亀)は、2本足で立っても、囲いの上に届
 かないはずなのに。
 鉄棒の様に懸垂をしてでたのだろうか。重たい甲羅の身体を持ち
 上げる凄い筋力があるマメちゃんなのか。
 それにしても不思議だと思っていると次女が出したそうだ。
 出すのは良いが、エサは、どうするのだろうか。と思うが、気にな
 らないようだ。世話のかかる奴だ。
 家の中でも、見つからなくなった。のんびり屋の家内は「家の中だ
 から、そのうちに見つかるよ」と、今日で3日目の朝である。
 目立たない保護色であるため微妙に、家具や壁に同化して発見し
 ずらい。
 昼頃に、ゴソゴソと音がする方に行くと洗濯物干す部屋のすみに
 居たそうだ。
 今年も夏と秋に掛けて、悩みの散歩になるか、楽しみの散歩にな
 るか心配だ。
 
 話は変わるが、娘夫婦と食事に出掛ける事になった時の話だ。
 当然お酒を一杯飲むので、行きは私が車の運転をするが帰りは、
 誰が運転するということになった。
 いつもなら家内の車で行くのだが私の車だと、家内は運転しない。
 娘が、運転することになった。
 家内の姉さんが営んでいる中華飯店で食事をして、もう食事も後
 半になったころ、「帰りは誰が運転するのだろうか」と娘婿が改めて
 心配そうな顔して聞いてきた。
 娘と聞いて婿さんは、家内がすると思ってたらしい。それまでは、
 「ビールのメーカーはどこですか」とか「コップが冷えているからだ
 ろうか」と話していた婿さん。
 ビールを飲んでしまって失敗したという顔をしていた。
 道の状況がアイスバーンなので心配していた。
 姉さんが来て「瓶入紹興酒を飲むかい」と進めに来た「いただきま
 す」と返事。次に,婿さん来たとき、帰りの事が気になっていたのだ
 ろう「もう飲めないです。ビール以外は」と繰り返し言っていた。
 姉さんは、ぐるっと振りかえってジョッキにビールをついできたから
 大変。彼は、ビールは一杯飲んだので結構ですと遠回しに言いた
 かったのが誤解を招いたのだろう。
 このことから他の人から見てどうか。
 一致点を計る気遣いが求められるという事か。
                       春風するめ