寄り道
 
  「予想超える..」
 
  突然、グラグラと揺れ出して、もう止まるのかな止まるかなと繰り
 返す終わりの無い揺れだった。テレビを見て、震源地は東北地方の
 太平洋側で大津波来ると報道されていた。テレビで見ている時には、
 津波の来る音は聞こえていないが、その場に居た人の話によると
 「ゴーッ」という音がしたと聞く。報道を見て「まだ来ていないから、
 何故早く逃げない」等と思っていたが、その場に居る人と映像を見
 ている私達との間隔のズレや条件がまったく違うと聞いた。
 
 画像で見る津波の恐ろしさが、徐々に沖の方から、静かに波が溢れ、
 “日本一の堤防”とも呼ばれていた岩手県宮古市田老町の高さ10m
 の堤防でも、今回の大津波からは逃れることができなかった。
 大きい波しぶきを出し、繰り返しぶつかり波の勢いが、続けざまに民
 家まで押し寄せあらゆる物を押し潰し、壊しながら高台の所まで、
 いや波の勢いが止まるまで行き着いたという表現が良いのかも知れ
 ない。木造の家は木くずと化し、車と共に流れる様は地獄絵図その
 もので、今迄の築いた文化や財産など終わりなんだと、自然の猛威
 に対して観念し気持ちが暗く落ち込みそうだ。
 生活と産業が昭和20年代後半から30年代にタイムスリップさせら
 れる水準になるかも知れないと予想してしまった。震災前と同じよう
 な生活出来るかわからないけれど、今から始まる不安と苦労そして
 挫折など味うと思うとぞーとするが。日本人は隣の人と連帯も出来、
 不屈の民族といわれている。尚且つ、切磋琢磨で立ち上がる歴史
 も持っていると聞く。時が経つにつれ私と同じ年代(戦後2〜3年過
 ぎに生まれた者)の人と、よく子供の頃の話をする。
 その度に「どんなご飯を食べていた」の話である。お腹が空けどこ
 の家庭も同じような物を食べていた頃だ。それとなく確認し合って
 盛り上がった事がある。
  この時に、この話題を出すのは不謹慎かも知れないが早くその様
 になれるようにと祈り思うものだ。
 
 
 
                        春風するめ