寄り道
 
  「余計な一言で..」
 
  朝寒いと中々布団から起きるのは辛い、まして今日は休みとな
 れば尚更だ、そんな気分で起きて母にコーヒーを入た時の話だ。
 「寒い朝だね....」と話しながら2杯目のコーヒーを入れていると、
 コップから跳ね上げてこぼれた「アッ、こぼれた」と、母がさけんだ。
 「他の物は見えないけど、これだけは見えるんだよね」とね。「母さ
 ん、それはね小姑根性というものだよ」と言うかなぁと、心の中で思
 ったが、寒くて気分の冴えない一日が始まりそうで止めた。テーブ
 ルの真ん中に、大きめのパンが、何故か関係ない時間に置いてある
 ので聞いたら、「これ昼のパンだぞ」と、大声が帰って来た。「あら、
 やさしく言えば良かったかしら昼のパンよ」と家内が、しおらしい声で
 言ってくると「気持ちわるーい」と母が呆れかえった返事を私の代わ
 りにしていた。今日の本格的な会話の始まりだ。
 
 この会話にしても、何かしらないが、ハラハラしたり、余計な言葉を
 入れて気分を悪くしたり、させたりで、いつもドキドキしてしまう。
 気配り出来る人は、頭の良い人だと聞く。私も頭の良い人に見られる
 ように、言葉を選びながら話するとなると勢い喋られなくなってしまう。
 これ頭の悪い証拠じゃ?頭が良くみられるのは難しいね。
 動物は、言葉は無いに等しいけど鳴き声などで、意思疎通をしてい
 るそうだ。ところで、我が家のマメ(亀)は、鳴き声さえ出さない無言
 の世界だストレス感じないのだろうか。人は、声や鳴き声なんぞ発声
 しないとストレスが溜まって死んじまう。動物からみて弱い生き物だ。
 そんな気がしたが、どうなんだろう。近頃、芝居を見に行く機会があ
 った。その中で、たいして名場面でも無いのに、お涙頂戴の場面に来
 ると、私の意識と関係なく涙が大量に出てくるのだ。仕方なく、ハンカ
 チで目頭を拭くのだが格好の悪い事さ。家内に話すと「ストレスが有る
 とそうなるらしいよ」とね。「うーん、お前さんと暮らしているからな...」
 わからないけど物事楽しく考えようか。頭の善し悪しなんか考えないで
 ね。
 
 
                               春風するめ