寄り道
「亀は半分野生と...」
この間、たいていの動物は飼っていると馴(な)つくが猛獣は
馴つかないと言われる事をテレビで放送していた。手元において
可愛がることが出来るのは、乳飲み子の時だけらしい。
娘は、うちのマメ(亀の愛称)は、半分野生だと言っていた。何
故なのかなと黙って聞いていると、こちらの思うとおりにいかな
いらしい。「それでか」と納得した。当初、見慣れない為気持ち
が悪い印象だった。おとぎ話に出てくるイメージとはまったく
違った。今では、首の皮が乾いている様に見えた皮膚も簡単に
破れないと、わかったので安心したし色んな発見もあった。陸カ
メと水カメのどちらが飼いやすいかというと、その人でなければ
判断できない。こちらは、陸カメを飼っている方なので人と行動
出来るから楽しい気がする。でも水カメだって、食事どきになる
と水槽をカチカチと音をたて喜んでいるのがわかると聞いた。
実に可愛いじゃないか。そうなると水カメの方が表現力が豊かな
のかな。それに対して、うちのマメは、よその人と見分け出来る
くらいか。そんな程度の愛嬌だけども可愛い。この可愛さは、一
緒にいる人でないと分からない事だと思う。マメも遠くで見ると
動く姿はとても、かわいらしく、たくましいようにも見えること。
この寒い冬、部屋が寒いとすぐ冬眠するかのように、じっと動か
なくなる。ヒヨコ電球の活躍の時だ。まめは、話をする訳でもな
く、鳴くこともなく黙(だんま)りの世界、もしかして超音波など出
しているのかなぁ。物音や言葉を聞いて理解できたとしても、喋る
ことが出来なければ、独りぼっちさ。夜、仕事が終わって家に帰る
と新聞紙を敷いてあるその下に潜って寝ている。あまりにも寒い
時は、マメを手に取って甲羅を暖めると手と足をグーッと伸ばす。
嬉しい仕草だ(私は、そのように思っている)。石の模造の電器
湯たんぽのそばに、行かないようだ。そんな程度のマメの生活だ
が、私にはない悠久の時を過ごしているマメが羨ましいかぎりだ。
いや、そうでもないか、私には、どこに行くにも車を運転して送
り迎えしてくれる優しい家内がいる、だが一歩言葉の使い方を間
違えば、閻魔(えんま)さんがいる地獄にいることを実感させられ
事がある。マメのように、独りでいるよりは、家内とラブラブの方
が良いこと決まっている?
これが問題だ。
春風するめ