寄り道
 
  「逃げたら、...」
 
  飼っている動物が、手元からいなくなると「逃げる、逃げた」
 という表現を使ってしまうが、これが正しいのだろうかと。最
 近は変なところで悩む。これは私自身の発見、知恵が出て来た
 のだろうか。そんなことは、どうでもいい話だけど人間が、勝
 手に動物を所有し、それが当たり前という意識がそうさせるの
 だろう。どの動物にしたって、飼われている意識なんぞ持って
 やしないと私は思っている。ただ、飯をくれるから同等に付き
 合っているくらいかな。また、余計な事を思っちゃうから横道
 に逸れてしまう。いつも一緒に生活しているから家族。この感
 覚だったら、「どこかへ行ってしまった」の言葉になるはずさ。
 「逃げた」は、相手が動物である意識で、家族になっていない
 言葉が自然にでてくるのだろうと思う。でもこれは、当事者で
 ない人が聞いても不思議に感じない。
 
  何故、難しい話になってしまったかというと。我が家のマメ
 は、亀のくせにしてよく行方不明になる。動作が鈍いというこ
 ちらの安易な考えのズレがあり、油断するからだ。それでも散
 歩はさせるけど、今日だけは家内に変わって私がさせることに
 した。ブロックを円形にならべ、その中に遊ばせた。様子を見
 たら、案外と歩くのが速いことがわかった。20分位黙って見
 ていたら、直径8mあるところを行ったり来たりを8往復して、
 やっと静かになって、「次は何処かへ行けないか」と言うよう
 に、ブロックで作っている壁に前足で何度も引っ掛け始めた。
 その壁を越えようと一生懸命だ。その内に、バランスを崩して
 仰向けに転んだ。どうなるのかなと思ったが様子を見ることに
 した。後ろ足で石を蹴って難なく起き上がった。この一連の動
 きを観て「ウサギとカメ」の話ではないけど、コツコツとやっ
 ている者には叶わないと知らされる。
 
  その内に少し寒くなり連れて帰へろうとすると、木の葉の下
 に潜り込んでしまった。マメの甲羅の色は保護色なので探すの
 に手間が掛かった。囲いの中でもこの様な状態だから、柵のな
 い今までの行動は、無防備そのものだったということかと知ら
 された。温暖化といわれた夏も終わったが、マメのように世間
 の常識とか、そんなことに振り回されることなく、新たな常識
 を作る位の意気込みで頑張るか。
 チョット偉そうなこと言って、疲れそうだ。
 
                          春風するめ