ちょっと一休み
 
  「熱くなる思いをして...」
 
  「年寄りと暮らす」という話をしていた。我が家も母と
  一緒に暮らしている。今は、少数派になってしまったが
  ほんの少し前迄は、お年寄りと一緒に暮らしているのが
  普通だった。お爺ちゃんお婆ちゃんと暮らすという事は、
  いずれは、介護などの問題が出てくるだろうが、親が祖
  父母の世話をしている姿を子供達が見て育ち、やがて親
  が年老いた時には、自分もその番が来たと素直に解釈し
  て、当たり前の事に成る。昔から繰り返し行われてきた家
  族の営みだ。
 
 そんな事を思いながら女性の両親の話を聞いていた。
彼女の母は、しょっちゅうボランティアに出掛けているそ
うだ。お婆ちゃんの世話が終わり、時間も出来たので専念
しているらしい。彼女の父は、お婆ちゃんの事で大変な世
話掛けたと思っているので、食事支度や出掛ける為の用
意などあらゆる協力をしているとか。
 その娘のである彼女が、父親が健気に母親に尽くして
いる姿を見て、お母さんに対してそんなに頻繁に外出しな
くてもと気をもむらしい。その話を聞いた時、彼女の父親
がそこまでするには、色々あったであろう家族の絆などい
ろいろ考えさせられた。
 
 そして私は、彼女にこう言った。
あなたの父は、家族の長として、男としての一分(いちぶん)
を果たしているのだと。
 胸が熱くこみ上げる思い持ちながら私もその様な男で
ありたいと思った。間近で彼女の父親の姿を見ているよう
な錯覚をし、話を聞いてしまった。
 
 私も妻に感謝し、またその姿から子供たちが何かを感
じてくれるだろうか。心の中で思っていても、言葉や行動
で表さないと伝わらないだろうな。
 
 
                                                  春風するめ