寄り道
 
  「やっと暑くなって...」
 
  「暑い」という言葉をやっと聞くようになった。
  今年は、札幌近郊でも4月には雪が溶けたけど、種を蒔く
 には5月の連休より10日位後にしないと育たないといわれ
 る位寒かった。
  でも、長期予報では7〜8月でも寒い予報だったが、6月
 当たりから暑くなって、一安心だ。
  夏は暑く、冬は寒い事が自然というものさ、そうでなきゃ
 景気にも、生態系にも影響あるんじゃないかと、私は感じる。
  6月の終わりから7月の始めに、カッコウがよく鳴いてい
 たので、「託卵(たくらん)されている哀れなトリがいるんだ
 なぁ」と、つぶやいていたら「カッコウだって、一生懸命な
 んだから、仕方がないって」といわれてしまった。
  もう一方、遠くの木々からヒヨドリのピーィピーィと鳴く
 声がする。
  さくらんぼの枝に葉が、付きリンゴを吊す事が出来ない、
 したがって、窓辺から、見ることが出来なくなった。
  その話を家内にすると「冬の間だけ面倒を見るけど、この
 今の時期は、花の蜜や実があるのだから、それで生きてよ」と
 いうのだ「もっともな話だ」。
  これが現実か、何か侘びしさがこみ上げてきた。
  そんな思いで、街を歩いてるとき5才くらいの女の子が、ふ
 ざけて走っていて,お店の食器に触れ、破損させてしまった。
  「お店で走ったら駄目って言ったでしょ」と、「あなたが、
 この食器を壊した為に、この食器を一生懸命に作った人は、壊
 れた為に誰にも使ってもらえなくなったと悲しむのよ、また、
 この食器を使いたいと探してる人も困るよ」と、髪を金髪に染
 めた母親が、言い含めるように話していた。
  この母親は、ゆうことを聞かなかった為に、物を壊す事の重
 大さ、すなわち物に携わる人達の心持ちについて話していた。
  誰でも、すぐ言えそうだが、そいではない。
  いつも、意識していないといえないと思う。
  だから、この世の中まだ、捨てたものじゃないと感激した。
  ふと、我に返って、カッコウの鳥の話を思い出した。
  子供の頃「花いちもんめ」の遊びあったが、唄の中で「たく
 らんきょ」の文言があった、託卵と同じ意味なのだろうか。
  私は、子供の頃から不思議に思っていたけど、今日まで理解
 しようと思わなかったのも事実だけど、理解できないでいる。
 それにしても、生き物って不思議だよなぁ。
 家に来るヒヨドリ達に「夏と秋過ぎて冬になったら来いって」。
 この気持ち、彼らに伝わるだろうか。
 
                        春風するめ