寄り道
「ちょっと出掛けようか....」
先日、家内が珍しく「近所を散歩しよう」というので、そ
うしょうかとなった。
今年の日曜日は、農業(野菜作り)教室に通いだした為に散
歩なんて出来ないと思っていたが、連休なので行くことにした。
さあ、身支度して玄関に出て待っていたが、中々出て来ない
のである。
「また始まったかよー」と、心の中でつぶやき、「まだかい」
とやさしい声を出して言った。
おもむろに、台所から出て来て「マメコフ(亀の名前)に、
エサをやって」と、菜っ葉をドサッとよこした。
何で出掛け間際にするのよと、思いながら「このままマメに
やるのか」と、語気を強めて言うと「マヨネーズをつけれって
か」と、返事が返ってきた。
それまで家内は、何をしていたかと言うと台所で洗い物をし
てながら、スズメに窓から残りご飯をばらまいていたのだ。
私が、玄関で待っているのに、こんな具合だから何言っても
勝てないのだ。
理由はどうでも良いが、私には散歩から帰ってからの楽しみ
があるのだ。
散歩のあとのビールは、うまいからなぁと思い浮かべて歩く。
帰ってから飲むビールにも食い違いがあるんだ。
家内は、発泡酒の方が、うまいと譲らない。
こうなると、家で本物のビールを味わうことが出来ない境遇に
なったのは確かだ。。
つい先日、娘婿が来るから、ビールにしようかと言うときでも
発泡酒と言って頑張るのさ。
物価も高くなり、発泡酒の方にシフトしたのだろう。
なんと悲しいことだサイフの中身で、味も考えも変えさせられ
るとは、厳しい現実の中にいる私は、潰されそうだ。
ところでマメは、どうしているのかなと思って見ると、あくせ
くしている様子なく、ただ悠久の時間を持つ者は、ジーッと黙っ
て動かないでいるのた。
それを見て羨ましいと思うは、恥ずかしいことだろうか。
今の私の姿勢じゃ、この世の中生き延びていけないと思ってし
まっている何故が、わからんけどね。
カメだって環境変化に対応して来から、今日があると聞く。
遅まきながら、なぜ「今日がある」かを、マメから秘伝を学ぶ事
できるだろうか。
春風するめ