ちょっと一休み
 
   「落とした拾って」
 
   この間、母が、ご飯を食べている時、茶碗から何か落とした
  と気づき「アーちゃ、落としたので拾って」と、頼んだ。
   家内の返事は「お婆ちゃんが、今すぐ踏むところに有るわけ
  でないから」と言って、そのまま新聞を読んでいた。
   普通の健康状態なら、自分で拾っても良いのだが。
   骨祖訴訟のため、以前にも物を拾うとして転び骨を折ったの
  で、「落ちた物は拾わないで」と言ってある。
   そのため、ははは、イライラしながら新聞を読み終わるのを待
  っていたと言う。
     家内は、そんな気持ちお構いなしで新聞を読み終わってから
  落とした物を拾った。
   母は、毎日が耐える日々を過ごしているようだ。
    のんびり屋の家内に、すぐ行動をするようにと何回、話しただ
  ろうか。
   外でも同じような光景に出会った。
   木にぶら下がったリンゴを食べる順番を待っているコムクドリ
  が身体の大きいヒヨドリに、上に乗っかるように飛んで来たので
  ある。
   ヒヨドリもビックリして、どこかへ飛んで行ってしまった。
   いつまでも食べ続けるヒヨドリに、我慢でず思わぬ行動に出
  た光景のように見えた。
   その気持ち分かると勝手に解釈し、コムクドリがたのもしく見
  えたよ。
 
   そんな中、家内はナスビの苗を植えるので、亀のマメコフを
  散歩させると持ってきた。
   見える所に置くので心配ないと、私の注意を聞かず自信ありげ
  に言ってたが、当てに成らないことはっきりしている。
   そのうち、畑の植え付けに気を取られ、マメコフがどこかえ行っ
  てしまったのである。
   「こりやぁ、大変だ」見つからなかったら、次女に何と言うかと、
  一瞬の不安をよぎって、家内の言うことを聞くんじゃなかったと後
  悔する。
   そのうちに物置にいたのを見つけたから、良かったけど私の気持
  ちなんぞ、お構いなしに「そのうち見つかるから」という調子で話す
  のだ。
   こんな事を言うのも、どうかと思うが、家内とマメコフが、似たよ
  うな性格している気がした。
 
   そんなことを、私が思っていることを家内に知れたら、用事を頼
  む度に「マメコフにいいな」と言われそうだ。
 
   400年位前の偉い人の言葉を思い出した。
  「千の悪から、たった一つの善を捜し出せる者になれ」と、この場合
  チョット大げさなフレーズだけど、私は、良いとこを捜す事の「出来
  る」人間になれるだろうか。
 
 
                       春風するめ