ちょっと一(ひと)(やす)
 
 「猫の飼い主め...」
 
 朝から天気が良く、のんびりした一日を過ごす予定だった。
 昼頃、玄関のチャイムがなりだし、隣の奥さんが「お宅で飼っている
 ニワトリの死骸の一部だと思うので、取り除いてください」と、文句を
 言いたそうなに顔したので「どれどれ」行って見るかと、隣の家迄行っ
 た。
 玄関横に白い羽根など散乱してではないか。
 私は、咄嗟にこいつ(隣の奥さんのこと)に「お宅の猫は、どこにいる」
 っと言いそうになった。
 何故なら、ここんちの猫で我が家の猫が襲われたのだと確信したから
 だ。
 動物は獲物を捕獲したとき、安全な場所で食べ始める習性があると
 わかってるからだ。
 でも、私は確たる証拠が無いので我慢をした。
 近所でも、分けのわからんことを言う口うるさいご婦人だし。
 あとで、じっくり仇を取ることも出来るので、とりあえずニワトリの死骸
 の片付けをしてきた。
 家にある猫捕りのワナ(仕掛け)を掛けていれば、犯人である猫が、わ
 かることだ。
 その一騒動が忘れかけた頃に、家内が黄色い声で「おとうらん、猫
 が掛かっている」と、叫ぶので見に行くと体重4〜5kgは超える隣の
 家の太った猫だった。
 さっそく「猫を遠くへ持っていこう」と準備していると、家内が「猫を遠
 くに運ぶ為に、高いガソリンを使って投げに(捨てるの意味)行かなくて
 もいいしょ」と言うのである。
 どうなっているのだ、ここに来て原油の高騰によって、憎き猫に恨みを
 はらすにも影響されるとは思わなかった。
 家内と口論していると、娘が「お父さん、お母さんがそのように言ってい
 るのだから任せたら」と追い打ち掛けてきた。
 我が家では、猫が掛かる度に、この問題が起きるのだ。
 我が家の猫は、3羽になってしまった。
 ニワトリを猫から守るのに、いろいろな手を尽くしてきたが、これし
 かないのだ。
 勿論、この猫を捕るワナ(仕掛け)のある事を、近所に一切知らせてい
 ません。
 あの隣の口うるさい奥さんに、気づかれる事無く始末したが(実際に、
 そこの猫かわからないが...)。
 気ずかれないように始末する、この気遣い、わかってくれるだろうか。
 
                        春風するめ