寄り道
 
 「姑と嫁の間で......B」
 
  私も休日は家庭サービスをする。
 そのひとつに、朝のコーヒーとそばを用意するのさ、そのソバの
 用意をしていた時、昨日つくったと思われるタチの入った味噌汁
 があるではないか。
  とっさに最近、世間を騒がしている食中毒、我が家もその様に
 なったら大変だと思い、家内に相談無く捨ててしまった。
  これが、まずい行動だった。
  母は、「食べたいので作って貰ったのに......」と、いつになく大
 声で私に言ってきた。
 私は、母に聞かないで捨てたことを素直に謝ったのだが。
  家内が来た時「タチの味噌汁を投げたんだよ」と母は、言いだ
 したではないか。
  家内は、「何故捨てた」と、大声で言ってきた。
  私も何回も謝っているのだが、聞き入れらないのでつい反論し
 てしまった為に口論になった。
  こうなること、わかっていたのに、実にまずいことになった。
  あげくのはてに私が、朝作った「ソバ食べないから」と、言って
 部屋を出て行った。
  私も思わず母に、おもしろくない顔で言ったよ「なんぼ私が悪い
 からと言っても、考えてよ」と。
 続けて「例えば、どこかの家に、お客として行ったら、すぐ茶を出
 してくるよね。でも、都合によって、お茶を飲まないで帰る事にな
 ったとしよう、その時でも、ご馳走様くらいの礼は、言うでしょう」
 と言ったよ。
 母は、「その時はいうけど」。
  私は「今回は、少し違うけど味噌汁のこと聞かれたらね
 「おいしかったよと、言って欲しかったよ」と言った。
  母からは、意外な返事が来た。
 「食べてもいないのに、そんな嘘は言えん、それを作ってもらうの
 に一年かかった」と話す、家内は、タチの味噌汁は嫌いなのだ。
  しばらくして家内が来て、これまでの私の悪態を機関銃のように
 まくし立ててきた。
  どうも、家内の機嫌が収まらない様なので娘に、助けを求めよう
 としたら察してか「お父さん、私に助けを求めるような事を言わない
 でね。
  この間、母さんに夫婦の間の事に口出すなと言われ大変だった
 んだから」と言われてしまった。
  この様子を見てた母は、「すまんかったねぇ」と言われた、母に
 気を遣わせたが、有り難うと感謝した。
  私は思う、他人にも出来る心遣いならば、当然、身内にするのは
 当たり前なのだと。
  でも、母には求めていないよ。
                        春風するめ