ちょっと一休み
 
 「ちょっとタイミングを外すと..」
 
 去年、秋の終頃、雪がチラつき始め来た時、ヒヨドリが「来てリ
 ンゴが無いぞ」と言っているかのような鳴き声をだしていた。
 家内にリンゴを木に吊すので買ってくるように、頼んだが、まだ
 高いと言うこと買わなかった。
 おかげで、2月になった今も、ヒヨドリは我が庭に来ていない。
  タイミングを逃してしまった。
 そうそう、ちょっとしたタイミング外れて大騒ぎになったことがあ
 った。
 家内の運転で買い物に行くときのことだった。
 信号のある交差点に差掛かろうとした時、交差点の信号は青だ
 でも歩行者専用の信号は青だが、点滅し始めたのを見た瞬間に
 家内は、ブレーキペタルに足を掛けた。
 時速30km/hのスピードでも、楽に交差点を通過出来る距離だ
 った。
 「なんで、ブレーキを踏むのだ」と、思わず言ってしまった。
 私は、道路がアイスバーンでも、それはないべと思ったから笑っ
 しまった。
 信号待ちするように、車を停車して、「そんなに、うるさくケチつ
 けるならここで、降りて良いよ」と、悲鳴のような怒鳴り声で言わ
 れてしまった。
 わたしゃ、当然のごとく、だんまりを決め小さくなって車に乗って
 いたよ。
 どこか似ている、あのヒヨドリと家内の気の短さよ。
 昔、坂本九が唄ってた、素敵なタイミングという歌。
 歌の一節、「トカトカ、この世で一番大切なものは、素敵なタイミ
 ング...」この歌詞を思いだした。
 気をつけなきゃいけないことがある。
 ヒヨドリにりんごを木に吊すにしても、勿論、家内に声をかけるに
 も、大切なタイミングがあるのだと。
 タイミングをはずした行動と、余計なことを喋ってしまうのは、分
 別を忘れた年寄りになったのだろうか。
 誰かに教えてよと、聞きたくなった。
 
 
                        春風するめ