寄り道
 
 
 「アー、黄アゲハチョウが..」
 
 庭のリンゴ木が、消毒をしていない性か、毎年毛虫が住み
 着く。
 今年は、クロスジモンシロチョウに泣かされてる。
 何か聞き覚えのない虫であるが、成虫は白くて可愛いモ
 ンシロチョウだ。
 幼虫は気持ちの悪い毛を覆った姿(俗にいう毛虫)だ。
 隣の桜の木の葉まで食い荒らす。
 おかげで、秋でもないのに、木が丸裸だ。
 そんな中、黄アゲハチョウが庭に飛んできた。
 同じ虫でも、アゲハチョウの幼虫がフェンネルに、住み着
 くのは、許せる。
 アゲハチョウが飛んでいく先を、だまって見ていたら百合
 の花に留まった。
 その時、近所のおばさんに、「アゲハチョウは百合の花の
 蜜を吸いに来るんだよ」と、教えてくれた。
 殺虫剤を吹きかけなかった事で、嘆(なげ)いていた。
 悪い事ばかりでないと思い直した。
 アゲハチョウが飛び交う様にしたい、どうすれば良いか。
 百合を増やす様にして、手入れする事にしよう。
 昆虫は、自分で環境を変えたりは出来ない、こちらで出来
 るだけ良い条件をつくることで増えるはずだ。
 自分勝手に解釈して、ひとがんばりする事にした。
 この様な気持ちになれたのは、「アゲハチョウは百合の花
 の蜜を吸いに来るんだよ」という、背中を後押される言葉で
 やる気を興した。
 何気ない言葉も、時と場面で、勇気を与えてくれるものか
 と感じるこの頃だよ。
                      春風するめ