寄り道
 
 
「次郎が逝った..」
 
家では、歴代のニワトリの大ボス太郎に次ぐオスだった。
身体をまるくしてモックリ状態が、続いていた。
体重は重かったので老衰だろうと勝手に思うことにした。
次郎は、走り切るだけ走ったのだろう。
 
今も、思い出すハーレムの座を巡って、銀ちゃんと、熾烈
な戦いをしてた頃を。
そういえば、人間の世界も同じだ。
私が所属する組合の組合長は、考え方が斬新だし行動力
も有る人なのだが、なにせ年をとり過ぎた。
その様な、動きが随所に出てきた。
でも、頭だけはしっかりしているのだが。
改革を求める組合員に「辞めれるように..」と、陰口を言
われるようになった。
これも、厳しい現実であり弱肉の世界に身を於く者の宿命
なのかも知れないが、私は、続けたいと言うなら、させて
やれば良いのにと思った。
 
ニワトリがハーレムの座を求めて、組合長の座を巡って競
う人間の大人達、それも、オス同士だ(人間なら男か)。
わたしの飼っている、動物と大差無いなと錯覚しそうにな
った。
この一連の騒々を観て、人間の男と、動物のオスとどこが
違うのかなと一寸、私なりに考えてみた。
全部、共通するように感じたが、一つだけ、違うものがある
気がした。
 
昔から、教えられてきた年長者を敬う精神、どこへ行った。
せめて人ならば、「譲り合う」・「許し合う」・「尊重し合う」
この精神と言葉を持っているのが動物との差だと思うが。
こんな言葉を実践していきたいね。
私も、人のことは言えません。
なにか、夢を見たいような会話を味わいたいね。
 
                   春風するめ